8月の写真集

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渡辺眸 「1968 新宿」「東大全共闘 1968-1969」
今月は渡辺眸の写真集を2冊用意してみました。

当時、ある編集者にはじめて連れて行かれたのが新宿御苑近くのユニコンという酒場だ。 それからは、モダンジャズを聴かせるビザール、トレビ、木馬やDIG、いまも健在なDUG やピットインを梯子してまわった。花園神社での唐十郎の紅テント、ATGのアヴァンギャルド映画、歩行者天国が出来る前の路上のハプニング(パフォーマンス)……。
アンダーグランドという言葉にも新宿で出会い、らりってるフーテン達に遭遇したのもこの頃である。
渋谷や下北沢、吉祥寺ではなく、新宿が文化だった。
そんな日々が続くある夜、新宿周辺が群衆で大混乱になっているのに出くわした。「10.21 国際反戦デー」だ。デモ隊にもみくちゃにされながら、情報として知っていただけのベトナム戦争がもたらすものを、私は全身で体験したのだった。
1968年の新宿に、時代が集約されていた。 (「1968 新宿」あとがきより抜粋)
写真をみているだけで当時のムッとした都市の熱気にのぼせそうになる一冊です。もちろん僕は当時を知らないですが1968年の新宿に放り出された感覚に浸れます。

東大全共闘は渡辺眸が68年から69年にかけて東大に通い、やがて安田講堂のバリケード内に泊まり込んで撮影しています。
当時の報道写真や映像では見ることないバリケード内の「開放空間」、荒れた大学構内での短い日常は終末世界のようで魅力的にもみえてしまいます。

どちらの写真集も実際に起きた過去の記録なのですが生々しいモノクロ写真になることでだんだん異世界の物語のように錯覚してしまう魅力もあると思います。